相続人の存在、不存在が明確でない時は家庭裁判所において申し立てすることにより相続財産管理人を選定します。これは相続放棄により被相続人の相続財産が全て放棄された場合も含まれます。
相続財産管理人とは?
相続財産管理人とは被相続人の遺産を管理し遺産を清算する職務を担う人です。相続開始後遺産の管理は通常相続人が行いますが、天涯孤独や全員が相続放棄をしてしまった場合など相続財産を適切に管理できない場合があります。そのような場合に相続財産管理人が選任されます。ただしう遺言があらかじめ存在して遺言執行者が選任されている場合、遺言執行者によって遺言が執行されるため遺贈の場合でもわざわざ相続財産管理人を選任する必要はありません。
申立人は検察官や被相続人の債権者、特別縁故者、特定遺贈者などの利害関係者となります。よくあるケースとしては相続放棄されてしまった債権を債権者が回収するために相続財産管理人を申立することがあります。申し立てがあった場合、民法に基づき裁判所は相続財産管理人を選任いたします。それぞれの事案や財産に応じて中立の第三者である専門家(司法書士・弁護士)に任せる事案であれば、専門家が相続財産管理人になる場合がございます。
申し立て先は被相続人の最後の住所の管轄の家庭裁判所です。(管轄を調べたい方はこちら)申立には800円分の収入印紙、返信用などの郵便切手、官報公告料金の4320円です。申立の書式や必要書類は裁判所のHPにまとまっております。
必要書類一覧
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書),預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
- 利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),金銭消費貸借契約書写し等)
- 財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票
家庭裁判所は相続財産管理人を選任したら選任公告を行います。その後相続財産を調査し相続財産の管理や必要に応じて相続財産の処分を行います。