相続が発生した後に、相続人となった人が寄付を行うことを「相続財産寄付」といいます。
遺産を寄付してしまえば遺族どうしの感情的な対立を避けられるかもしれませんし、相続税を納める必要もなくなりますから、場合によっては遺産トラブルを解決する最適な方法となる可能性があります。
相続財産寄付の手続き
①国や地方自治体、公共団体などの寄付先を探す
②寄付をする
③領収書を確実にもらう
④相続税の申告をする
⑤確定申告でも税制優遇の可能性あり
※国や地方公共団体に寄付をする場合、相続税が非課税となります。
相続税の非課税を確実なものにしたい場合は、寄付をした結果として相続税が非課税になるかどうか事前に確認しましょう。また、相続税の申告の期限である相続してから10か月以内に寄付を完了していなければいけません。
相続財産の寄付のメリット
相続財産を寄付する1つのメリットは社会貢献ができることです。
教育を受けるために必要な資金を子どもたちに残せる、医療費を必要とする人に残せるなど、あなたの行いが社会貢献につながるというわけです。また相続税も軽減されます。
また、相続財産の種類や金額によっては、相続税の負担が大きくなる可能性がありますから、揉める可能性がある場合、いっそのこと全財産を寄付して遺産相続に関する問題が生じないようにしておくのも1つの手です。国等への寄付は、寄付に相当する金額については相続財産からはずされ、その分相続税は軽減されます。また相続争いの軽減もできます。不動産など1つしかない相続財産がある場合に複数の相続人がいると、やはり懸念されるのは相続争いです。平等に相続するのは意外と難しく、遺産分割協議の途中で相続人間で仲違いしてしまうことも珍しくありません。
このようなとき、相続人による相続財産寄付は、相続争いの回避の手法として有効な方法となるでしょう。一方、被相続人が相続争いを回避しようと生前に贈与による寄付を行うことは、相続争いの回避には繋がりづらいと考えます。
ただし相続財産の寄付も万能ではありません。相続人の一部には遺留分が認められており当然権利があるものが異議申し立てをした場合、寄付の相手先がどこであっても遺留分は認められます。
財産を寄付したときの税金
相続財産の寄付は税制優遇があります。相続人の相続税の負担を減らすことができます。
一方で、寄付によって財産を受け取る側の人(会社なども含む)は、贈与税、譲渡所得税、不動産取得税、法人税などの税金を納める必要が生じます。