法定相続情報証明制度とは相続人を確定する戸籍謄本や除籍謄本の原本と相続関係一覧図を法務局に出すことにより、登記官の認証分がついた法定相続情報一覧図の写しを無料で発行できる制度のことです。
もともとは相続等を推進されために創設された制度でした。しかし、現在では相続登記はもちろん預貯金の払い戻し、相続税申告、年金手続きなど様々なシーンで活用されています。名義変更の手続きが何回も行われる場合、この制度の利用をお勧めします。
実際に除籍謄本や戸籍謄本を一通取るごとに450円ほどの費用がかかり、各金融機関に提出するたびにお金がかかることになります。一方で原本還付も可能ですが、その都度行っていると相続手続きに時間がかかります。
申出先と手続き
法定相続情報証明制度の申出先は各法務局となります。どこの法務局でもOKなのではなく、管轄の法務局があります。管轄となる法務局は以下の4つです。
①被相続人の本籍地を管轄する法務局、②被相続人の最後の住所地を管轄する法務局、③申出人の住所地を管轄する法務局、④被相続人を表題部所有者・所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する法務局
法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載することができます。こちらは申出人である相続人の任意とされていますが、記載することにより、その後の手続きにおいて住民票の写しの提出が不要になるケースがあります。
数次相続の場合、2つの相続をまとめた法定相続情報一覧図を作成することはできません。また管轄する登記所の条件が緩和されます。
二次相続に係る被相続人の本籍地又は最後の住所地がどこであるかに関わらず、一次相続に係る被相続人の本籍地又は最後の住所地を管轄する登記所に二次相続に係る被相続人の法定相続情報一覧図の保管等申出ができる(司法書士平成事務所)
法定相続情報一覧図の取得費用
法定相続情報一覧の取得費用は無料です。必要な枚数を取得することができます。申請その際に必要である戸籍謄本や除籍謄本の原稿は還付してもらうことができます。
コストがかからないため、ぜひこの制度を利用することをお勧めします。
申出人の範囲
こちらの制度は、誰でも申し出ができるわけではありません。被相続人の相続人のみとなります。
再交付について
1番初めに申し出をした人は、法務局に対して再交付申し出による再交付することができます。従って、他の相続人が再交付を希望する場合は、1番最初の申し出人からの委任状が必要となります。
法定相続情報一覧図の保存期限は申出日の翌年から起算し5年間と定められているため、5年間は再交付が可能です。
注意点
法定相続情報一覧図は非常に簡潔で手続きを進める上で大事な書類となってきます。
ただし、こちらはあくまでも戸籍に基づいた相続人が記載されている書面であるため、相続放棄であったり、遺産分割協議の結果は反映されていません。したがって、相続人でない人が含まれる可能性もあります。
また、被相続人や相続人が日本国籍を持っていない場合、戸籍を出すことができない場合は、この制度を使うことができません。