数次相続とは?
数次相続とは被相続人の遺産相続が開始した後に、遺産分割協議や不動産の名義変更が完了する前に相続人の誰かが死亡してしまうことです。
祖父が死亡した後に配偶者である祖母とその子供である父で遺産分割協議を行なっていたとします。しかし遺産分割協議中に不幸にも父が死亡してしまった場合、数次相続が発生します。
このように相続が2回以上重なってしまっているのが数次相続です。遺産分割協議自体はいつまでにやらなければならないという期限はありません。そのため面倒が故放置してしまう人が中にはいます。
これにより別の相続人が亡くなってしまい数次相続が発生するのです。遺産分割協議を後回しにすればするほど時間が経つため数次相続になる可能性が高くなります。
2重に相続が発生してしまった場合は2次相続、3重に相続が発生してしまった場合は3次相続と言います。3次相続になると法定相続分が144分の1などかなり細分化されてしまい、遺産分割協議がまとまらない恐れも出てきます。
代襲相続との違い
数次相続と間違えやすい例として代襲相続というものがあります。代襲相続というのは本来であれば相続人になるはずの人が、相続発生の前に死亡している場合におきます。
代襲相続の代表的な例が父が先に死亡しており、祖父が死んでしまった後に本来父に行くべき財産がその子である孫に行くというケースです。
- 祖父が死亡→父が死亡→子に相続(代襲相続)
- 父が死亡→祖父が死亡→孫に相続(数次相続)
相続放棄
数次相続が発生した時の相続放棄との関係について説明していきます。1次相続人が相続を放棄しその後亡くなってしまった場合、この時1次相続人の相続人である2次相続人はすでに相続権が消滅しているため数次相続になりません。
2次相続人が放棄した場合はどうなるでしょうか?この場合3つのケースが考えられます。
- 被相続人・一次相続人の財産を両方放棄する場合
- 被相続人の財産を放棄し、一次相続人の財産は継承する場合
- 被相続人の財産を継承し、一次相続人の財産を放棄する場合
1,2は認められますが、3のケースは認められません。
数次相続の登記について
数次相続では中間の相続が単独の相続の場合のみ、中間の相続登記の省略が認められています。これは初めから中間が単独相続の場合のみならず、遺産分割協議等によって中間が単独相続になった場合も含まれます。
具体的な例で考えましょう。ある土地の所有権の相続名義人Aが死亡しました。BとCが相続人とします。さらにAが死亡した後Bが死亡し、その相続人であるXとYがBを相続したとします。この時XとYはBの遺産分割協議に参加する地位を継承したため、CとXとYで遺産分割協議をすることになります。
Cのみが単独で相続した場合、中間相続の省略が認められますがCとXが持分を2分の1ずつの遺産分割協議が成立した場合は中間を省略することができず、通常通り亡くなったAの不動産をCとBの名義に変更し、その後BからXへの名義変更(相続登記申請)をすることになります。
このように数次相続になると手続きが煩雑かつ面倒になりがちなので、可能な限り早く遺産分割協議及び相続登記を済ませる必要があります。