死後事務委任契約とは?
最近では少子高齢化が進み、孤独で亡くなる人がいます。自分が死んだあとの相続手続きはどうなるのでしょうか?
身寄りがいない場合心配ですよね。
死後事務委任契約とは死後の葬儀や埋葬など必要な事務作業の代理権を付与し、死後の事務を委任する契約のことです。依頼する人を委任者、事務処理をする人を受任者と呼びます。
この委任契約は相続とは全く別の手続きとなります。受任者になったから相続人になれるわけではありません。
死後事務委任契約は平成になってから制度化されたものです。過去には遺体の引き取りや葬儀、埋葬、病院・介護施設等への支払いなど死後事務に関しての法的根拠があいまいで成年後見人等が死後事務を引き受けなくてはいけない状態が続いておりました。
契約を結ばれる方の例
天涯孤独の人や内縁関係にある人、同性カップルなど法律婚が認められていない人、相続人が未成年者や認知症の配偶者など残された家族にとって相続が大きな負担となる人は死後事務委任契約の検討も視野に入れてください。
死後事務委任契約の範囲
本人が亡くなったあとでは自らでその意思を表示することができません。そのため遺言によって誰かに代わりに実現してもらうことになります。遺言は書式など法律で厳格に定められており、死後に必要とされるすべての事務をまかなうことはできません。
死後事務委任契約で行える権限は葬儀や埋葬等、最低限の手続きで現行の相続制度や遺言の内容と矛盾しないように締結し手続きを進める必要があります。
一般的に死後事務委任契約で行われる内容はこちらです。
短期的な委任事務
❶葬式関連
- 遺体の引き取り
- 親族への連絡
- 永代供養
- 埋葬
- 納骨
- 葬儀
❷支払い関連
- 医療費の支払い
- 施設利用料の支払い
- 公共料金の支払い
❸住宅関連
- 敷金の清算
- 不要な家具の処分
- 明け渡し手続き
- 賃貸不動産の解約
長期的な委任事務
- 墓石の管理
- 年忌法要
- 長期にわたる永代供養
相続制度との関係性を考えると死後事務の範囲は法定遺言事項以外のものに限定するのが一般的です。
長期的な委任事務を引き受ける場合は、遺言とセットで委任契約を結んでおくとトラブルがないでしょう。
死後事務委任契約を結べる人
死後事務委任契約を結べる人は原則特に縛りはございません。しかしながら一般的には司法書士や弁護士など第三者の専門家がなることが多いです。
死後事務委任契約の作成
死後事務委任契約は財産管理委任契約や任意後見契約と同時に作成することが多いです。またこれらと同時に作られるため公正証書で作られることが多いです。
実務上は継続的見守り契約や財産管理委任契約とセットとして公正証書にすることがあります。
公正証書はプロである公証人立ち会いのもと作成するため、自筆証書遺言のように書式等を心配する必要はございません。