亡くなった人から生きている人へ財産を継承する方法として最も代表的なのが相続です。
しかし相続以外にも遺贈や死因贈与があります。このページでは死因贈与について詳しくご説明いたします。
死因贈与とは?
死因贈与とは、母「私が死んだらあなたに全ての財産を渡すね」、子「お母さんわかりました」のように亡くなった際に財産を渡す契約のことです。契約なので双方が合意のもとで行われます。遺言(遺贈)が贈る方の意志だけで決まる一方的な贈与ですが、死因贈与は契約なので双方の合意のもとで行われるのが最も大きな違いです。
遺言書の場合、厳密な公正証書遺言や、要件を満たしていないと無効になる自筆証書遺言など遺言書を作成することにハードルがあるのですが、死因贈与の場合契約ですので口約束でも成立してしまいます。このように手軽さがあるのが死因贈与です。その一方口頭契約だと揉める可能性が高くなります。必ず書面で行うようにしましょう。
始期付所有権移転仮登記
始期付所有権移転仮登記とは不動産を所有している人が生存中はその人に所有権があり、亡くなったと同時に所有権が移ることを記載した登記です。この登記を行うことによってより確実に財産を受け取ることができます。死因贈与と似た遺贈ではこの手続きはできません。自分の財産を確実にものにできる点では死因贈与の方が優れていると言えるでしょう。
負担付き死因贈与
死因贈与には負担付きの死因贈与というものがあります。これは生前贈与する相手に介護してもらうなど条件をつけた上に自分の死後財産を渡す死因贈与です。死因贈与も撤回は可能なのですが、負担付き死因贈与の場合、相手に先に負担を負わせるため撤回ができない可能性もございます。
死因贈与の税制について
死因贈与という言葉から、かかる税金は贈与税と思われがちですが、実は違います。死因贈与により発生するのは相続税です。しかし一般的に相続や遺贈と比べると死因贈与の税制は不利です。
相続税の2割加算
死因贈与の場合、法定相続人以外でも遺産の継承をさせることができます。しかし法定相続人以外の人に財産を継承する場合、相続税を計算したのち、その金額に2割加算したものが請求されます。
不動産取得税、登録免許税
不動産がある死因贈与の場合、不動産取得税や登録免許税がかかってきます。不動産取得税や登録免許税は相続の場合、軽減税率があるので多少負担が軽くなりますが、死因贈与の場合は相続人でも一律に税金がかかります。
死因贈与 | 相続 | |
不動産取得税 | 1000分の40 | 0 |
登録免許税 | 1000分の20 | 1000分の4 |
※遺贈の場合、贈る相手が法定相続人の場合は相続と同じ税率になり、法定相続人以外の場合は死因贈与と同じ税率になります。
たった少しと見えるかもしれませんが、登録免許税でさえ相続の時と比べると5倍税金が変わってきます。大きい財産を死因贈与で継承する際は、税率が変わるので注意して行う必要があります。
死因贈与契約と遺言書の有効性
もし仮に被相続人が死因贈与契約書と遺言書を作成していた場合どのようになるのでしょうか?
遺言書が複数あった場合は、一番日付の新しい有効な遺言書が有効となります。
死因贈与契約書と遺言書が2つあった場合も同じで、有効なもので新しく作られた方が採用されます。契約書と遺言書の優劣(どちらの方が偉い)といったものはございません。法的な効力はほとんど同じですので、かかる税金などを考慮した上でどちらを利用するか考えていただければと思います。