相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始前において被相続人の居住していた宅地等のうち一定の条件を満たす場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分については、相続税の課税価格に決められた一定の割合を減額します。これを小規模宅地の特例と言います。
小規模宅地の特例が使える場合
- 住んでいた土地(特定居住用宅地等)
- 事業をしていた土地(特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等)
- 貸していた土地(貸付事業用宅地等)
この中で最もよく使われるのは1でしょう。大前提として1の特定居住用宅地等に該当するには、被相続人or被相続人と同一生計の親族が住んでいた土地でなければなりません。
この被相続人が住んでいた土地ですが、晩年特定養護老人ホームなどに入所し、そこで最期を迎えるケースもあります。
また、亡くなった人が住んでいた土地の上の建物は、必ずしも亡くなった人が所有している必要はありません。
建物の所有者が親族であれば、特定居住用宅地等に該当するのです。
住民票をそのために移した場合
本当は同居していないのに、住民票のみを形式的に移して同居とすることで、小規模宅地の特例が使ええるのではないか?と考える方もいるでしょう。
しかしこれは重要な虚偽にあたりますので、特例の利用はできません。その後の税務調査で同居していない実態を指摘されると、追徴課税などのペナルティもございます。
逆に、住民票が同一でなくても、同居の実態があれば特例の利用ができる場合もございます。これは純粋に相続人の居住を保護する制度ですので、節税ありきで税制解釈を誤ることがないよう注意が必要です。