相続の放棄とは相続人が相続開始によって不確定的に生じた相続の効果を確定的に拒み、初めから相続人ではなかったとみなす相続形態を指します。具体的には民法939条で規定されております。
相続放棄は無条件かつ包括的になされるものであり、一部を放棄したり条件や期限をつけることは一切できません。
相続の放棄をする場合は自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3ヶ月以内に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所にて申述を行う必要があります。
相続税法では相続の課税計算に際して、相続放棄をしたものを相続人として扱わないことが原則です。また相続の放棄をしたものは原則として相続税の納税義務者にはなりません。相続税法における相続放棄をしたものは、家庭裁判所にて申述をして放棄した人だけを指します。
課税対象の例外措置
相続を放棄した場合でも遺贈を受けた場合、相続税を負担することになります。また相続の放棄をしたものが相続税法3条1項各号のみなし相続財産(死亡保険金や死亡退職手当金)を取得した場合、その財産を遺贈によって取得したものとみなします。
相続放棄したものは死亡生命保険金や死亡退職手当金の非課税特例の措置は受けられず、受け取った金額の全額が相続税の課税対象となります。
相続を放棄したものについては相続税法13条の債務控除の規定の適用がないため、被相続人の債務で相続開始の際に現存するもの(公租公課を含む)があっても相続人の取得財産の価額から控除されません。
しかしながっら相続を放棄したものが現実に被相続人の葬儀にかかった費用を負担した場合は、その負担額をその者の遺贈による取得財産の価額から債務控除しても差し支えないことになっております。
また相続放棄した場合、相次相続控除の対象外となります。
相続放棄者が相続人と同様に扱われている場合
相続放棄した人は、相続人として扱われないのが通常です。しかし例外的に相続人として計算するケースがあります。
税額の軽減措置
配偶者が遺贈によって財産を取得した時、相続放棄をした配偶者も、相続放棄しなかった場合と同様に税額軽減の特例を受けることができます。
なおこの軽減措置の特例は配偶者が相続した課税対象の遺産の合計が1.6億円以下か配偶者の法定相続分相当額までであれば相続税が課税されないというものです。
また相続放棄した未成年者が遺贈によって財産を取得した場合も、相続放棄しなかった場合と同様に税額軽減の特例(未成年者控除)を受けることができます。障害者に関しても同様です。